レンズと鏡筒の重みもあり、私には手持ち撮影できるギリギリのサイズ。
レンジファインダー機で135mm程度が望遠の限界だった時代、Nikon Fのファインダーから繰り出される300mmの眺望は、初めて覗いた人にどんな感動を与えたことでしょうか。

ピント合わせをしていると、標識の縁がマゼンダから緑へ。まるでミラーレスカメラのピーキング表示のような色収差はむしろ合焦の合図。
f/4.5開放, ISO100, 1/400 sec.
Nikon Z6+FTZ

正直なところ線が太いとか細いとかよくわからないのですが、樽の微妙に湿気を含んだ感じとか背景のボケ、私は好みの描写です。どう思われます?
f/4.5開放、ISO100, 1/320 sec.
Nikon Z6+FTZ

解像感もコントラストも低いので、今時のレンズで撮った絵と比較すると地味めに。金属の光沢感を引き出すのは難しく…
f/5.6, ISO100, 1/800 sec.
Nikon Z6 + FTZ

やっぱりこういうところにはパープルフリンジが。
金属のキリッと冷たい感じを引き出すには工夫が必要そう。このレンズは触感柔らかめの被写体をコントラスト低めにフワッと撮るのが合いそうです。

フィルター径: 72mm, 絞り羽根: 6枚, レンズ構成: 5群5枚, 最短撮影距離: 4m, 最大撮影倍率: 0.09倍, 質量: 980g
Nikonユーザの経典 ニッコール千夜一夜物語 第70話 の冒頭で登場する本レンズ。製品ラインナップの関係で設計上一番割りを食ったレンズとされていますが、それゆえに次の技術的な挑戦の土台となったことを考えると、このレンズを愛でてあげたい気持ちがふつふつと。
私が持つ個体は Nikon Lens Versions and Serial Nos によると15,000本ほど生産されたうちの最後の750本、最後期のもの。中古購入後にメンテに出した キィートス の方によると、ほぼレンズの曇りが出てくるこの時代のレンズの中で曇りが一切なく、非常に良い状態とのこと。良い買い物ができました。