その後1987年AF化と共に開放f/4のモデルが発売されるも、このレンズは1999年まで販売が継続されました。
しかし、回転角が大きく取られ微細にピントを追い込む事を要求するピントリング、開放でお茶を濁すことを拒否するかのように32まで刻まれた絞り、漆黒の鏡胴に金の帯…
このレンズはいつも私をシビアな世界に追い込んでくれます。いつ「使いこなしている」と言わせてくれるのでしょうかね。

300mmは、日常の何気ない一瞬にギュッと見つめた時の視野…という感じでしょうか。桜を目の前にしてしまうとつい主題にしてしまいますが、敢えて自転車にピントを合わせてみました。
前ボケ・後ボケの素直な描写が奥行きと春先の緩み始めた空気の感じを演出してくれています。本当は一絞りくらいしたほうが良いのかもしれませんね。設定を変えて数カット撮っておくべきでした。
f/4.5, ISO450, 1/320 sec.
Nikon Z6+FTZ

さすがEDレンズを使用しているだけあって、歴代300mm f/4.5と比べるとシャープに結像しますが、フリンジは意外と出ます。きっといろいろな収差の補正とボケ味などのバランスを勘案した結果なのだと思います。
f/8, ISO2000, 1/320 sec.
Nikon Z6+FTZ

横断歩道を渡りながらささっと1枚。Z6のボディ内手ぶれ補正と高感度でもざらつきが少ない描画エンジンに助けられています。梅雨の始まりのコントラストが低い中、微細なところまでしっかり描かれているのはさすが金帯レンズ。
f/5.6、ISO1800, 1/320 sec.
Nikon Z6+FTZ

コントラスト低めの天気、線ばかりの遠景。2020年、道路を跨ぐ錆びた看板の骨はまだ残っていました。「洋画は日劇 邦画は名画座」って書いてあった記憶はもうほとんどなくて、横浜日劇も気付いたら無くなってた。昔、ここらは汚くて怖かった。
f/11, ISO2000, 1/800 sec.
Nikon Z6 + FTZ

横浜の大岡川。2020年はコロナウイルスの影響で桜祭りが中止となり、屋台も人もいないひっそりとした川縁に。葉桜になりかけ微かに緑が混ざる桜もしっかり描き分ける解像度はなかなかのもの。
f/8, ISO320, 1/320 sec.
Nikon Z6 + FTZ

フィルター径: 72mm, 絞り羽根: 9枚, レンズ構成: 6群7枚, 最短撮影距離: 2.5tm, 最大撮影倍率: 0.095倍, 質量: 990g
発売当時大卒初任給ほどの価格で販売されていた高級レンズ、今では中古で3〜4万円でしょうか。こんな光学技術の高いレンズがこの値段で手に入るとは、良い時代です。
私が中古で入手した当時、その個体はレンズも外観もかなり美しかったのですが、あちこちに持ち歩いている間に外観はだいぶ傷がついてしまいました。もうずっと手元においておくつもりです…使いこなせるようになりたい。